すごく似たような状況ですが、覚えがひときわ遅い部下がいました。
しっかりした研修の上で研修資料も渡し、OJT形式で教えていましたがなかなか理解が進みませんでした。
「ここまで大丈夫そう?」と聞いても「大丈夫です」としか返ってきませんが、最終的にはどうやら大丈夫じゃなさそうなのです。
テスト形式で質問をしたところだいたい回答は曖昧でした。
積極性を重視する会社なので、「自分から手を挙げる姿勢が評価される」「結果を出したら評価される」ということは社員たちもみんな把握しています。
その方はどれだけ自分が暇な状態でも「誰か手伝える人いる?」などの呼びかけには絶対に応じませんでした。
その方と同期入社した方はどんどん先へ行っている中、ずっとスタート地点で足踏みしているような状態で、本人も焦るのではないかと思いきや、不思議なことに焦る様子は見られませんでした。せめて焦っているようだったらフォローして進めていけると思ったのですが…。
また、困ったことに他の社員から「勤務時間中にネットサーフィンをしている」「香水の匂いがきつい」等のクレームが寄せられ始めます。
何から突っ込んで注意したらいいのか途方に暮れました。
部下の価値観を知る
その方だけが原因というわけではありませんが、1on1を導入し、部下全員と1対1で面談を行いました。
その時に、その部下の先輩にあたる社員に話を聞いたところ、「呑み込みはめちゃくちゃ遅いけれど、自分なりに時間をかけて嚙み砕いて理解しているんだと思う」「納得できないことは全然覚えないけど、一回納得して覚えたことは大丈夫」というコツを聞き、「なるほど」と目からウロコが落ちました。
人によって違う、ということを改めて痛感し、本人にも話を聞いてみました。
その頃には通り一遍の業務はできていたので、気になっていた積極性のなさ、つまり消極的な姿勢について、「もし違ったら申し訳ないんだけど、自分から手を挙げることに対して何かハードルがある?」と聞いてみたのです。
部下はいたずらがバレた子供のような顔をしていました。
聞くと、厳しいご家庭で育ち、「完璧にできないなら迷惑だ」「お前より上手くできる人が絶対にいる、知りもしない人間が中途半端に手を出すほうが最悪だ」といった価値観を植え付けられていたようです。
確かにそれも一概に間違っているとは言えないのですが…。
ただ、少なくとも彼女の価値観は固まっていて、「自分が手を出すほうが迷惑をかける」と思い込み、消極的になっていたそうです。
これは本人と話をしなければ絶対に分かりませんでした。
その人にとっての「働きやすさ」を考える
本人の価値観を変えるのは無理だと私は思いました。
長年かけて培われてきたものを、ぽっと出の会社の上司ごときがぐらつかせることなどできないと思ったからです。
彼女にとっても価値観に反することを強要されるのはしんどいだろうと思い、会社の評価にはつながらないだろうけどそれでも良ければ、という形で周囲から仕事を振ることを提案しました。
本人はほっとしたように頷いてくれたので、それからは私が中心となり、本人に仕事を振るようにしています。
振った仕事は、手順や意図をきちんと説明すればやってくれるので今のところ問題ありません。
相談者へのメッセージ
上司の立場では、最近はともすればパワハラになりかねないので同じ立場にある方は戦々恐々だと思います。
ただ、相手もただサボっているとか、やる気がないとかでなければ何かしら事情がある可能性が高いと思われます。
やる気がない社員なら真摯に向き合って消耗する必要はありません。
でも、苦しんでもがいている社員であれば個別にその話を聞いて、一緒に解決策を考えていってもらえたらと思います。何か良い方向に変化がありますように。