40代後半の個人事業主です。5年前に独立しました。
当初は、自分で情報サイトを運営していて、それなりに収益も出せていました。記事を読みに来た人が広告収入につながる、いわゆるアフィリエイトです。読者のほとんどはGoogle検索から来ていました。
ただ、Googleのアルゴリズムが変わり、そして大手企業の参入も加わって、私のサイトを訪れる人は年々減っていき、気づけばアクセス数は最盛期の10分の1ほどになっていました。収入も、ほぼゼロです。
これはまずいと思い、知人に頼み込んで仕事を紹介してもらいました。しかし、その仕事も長くは続きませんでした。
正直、これはきつかったです。
お金の問題以上に、頼み込んで紹介してもらった仕事を続けられなかったことがこたえました。
自分でいうのもなんですが、若い頃は根拠のない自信で満ち溢れていた、この私が「自分はもう、外では通用しないんじゃないか」と考えるようになりました。
なにより、知人には今も申し訳なく思っています。
続かなかった理由。それは、サイトの収入が安定していた数年間、私は新しいことをほとんど学んでいなかったから。Web業界にはいたものの、技術の進歩に無関心でいたため、完全に浦島太郎状態でした。
一方で、当時依頼された仕事はWeb3.0 とかNFTとかAIとか。付け焼刃で学びましたが、まったく戦力になりませんでした。
ですが、スキルアップのためにスクールに通うような経済的余裕はない。なにより、仕事を止めて勉強すれば、収入も止まる。
当時はすでに3か月ほど自分の給料を出せておらず、学ぶことだけに時間を使う余裕はありませんでした。残された道はひとつだけでした。すなわち、単価を下げてても、「仕事しながら学べるものを探すこと」です。
新しいことを面白がる気持ちを取り戻す
とある若者とAIについて話したとき。彼はAIの話になると止まらなくて、「あれができる」「これも試した」と、本当に楽しそうでした。
その姿を見ながら、若い頃の自分もこうだったな、と思いました。新しいものが出てきたら、とりあえず触ってみる。それがいつからか、なくなっていた。
記憶力が落ちたことよりも、面白がって触ってみる気持ちを失っていたことのほうが、問題なのかもしれない。だったら、まずAIのなかから、自分が面白いと思えるものを探してみよう。そう考えて、企業向けのAI研修教材をつくる仕事を引き受けました。
報酬は、それまでの仕事よりもだいぶ低い条件でした。フリーランスに仕事を仲介する会社へ登録し、報酬の高さではなく、「働きながら必要な技術を覚えられるか」という基準で選びました。
研修教材をつくる仕事は以前にも経験していました。10年ほど前ではありましたが、教え方の組み立て方は分かっている。中身のAIについては、仕事をしながら覚えればいいと考えました。
最初は大変でした。とにかく、わからないことだらけでしたから。AIだけでなく、日常使う業務ツールも。社内連絡と言えばOutlookのメールのみだった私にとって、SlackやらNotionやらといったツールはなかなかなじめなく、皆がよくいう「メンション」とかも全然イメージがつかなかった。
更に、みな自分より年下です。それなのに、私よりも全然詳しく、そして(少なくともこの職場では)わたしよりも断然仕事ができる。ミーティングやチームチャットで、二回り近い若者に馬鹿にされるようなこともありました。
ただ、ここで辞めたらまた収入ゼロの状態に戻ってしまいます。必死に続けました。
「覚えなきゃ」から「こんなことが起きているんだ!」へ
転機となったのは、1年ほど経った時、ちょっとしたAIを使ったノーコード構築で、「こうやったらうまく行きそう」と思ってやった設定が、うまく行ったことです。
まるで、久しぶりに感じたこの感覚とともに、「ああ、自分はこういう体験も、無意識にずっと避けてきたのだな」と気づきました。
それからは、だんだんと仕事のペースも出てきて、複数の案件も同時に回せるようになりました(AIを使って、2案件を同時に進めたり)。
報酬もだんだんアップして、長かった赤字時代もようやく終わりをつげ、今はAIを使った新しいサービスづくりにも関わっています。──もう一度、受託ではなく自社サービスで、生計を立てようと、もくろんでいるところです。
毎朝10分、AIを使って最新技術ニュースのブリーフィングを行っています。
これまでは「覚えなきゃ」という感覚でしたが、今は「こんなことが起きているんだ!」という発見の楽しみを感じながら、接していられています。
相談者へのメッセージ
人間は楽する生き物ですので、特に歳を取るごとに「新しい技術習得」はどうしても避けてしまいがちです。
ですが、それと共に若い頃にあった知的好奇心や、何かができるようになった時の快感まで失ってしまうのはもったいない。
最初はどうしても「やらなければ」の感覚が強いでしょうが、少しずつでも「これを知りたい」「これをやってみたい」という感情を見つけて、見つかったら全力でその感情を大切にsるのが良いと思います。