私の場合は、自身が経営する食品卸の商売が10年ほど前に激減し、相談者の旦那様と同じように「仕事がないのにプライドだけが高い」状態に陥った時期がありました。
長年付き合いのあった大手チェーンの担当が変わり、一気に発注が止まったのがきっかけです。
当時は「これまでこれだけやってきたんだから、向こうから頭を下げてくるはずだ」と根拠のない自信に縋り、新しい営業先を開拓することもせず、事務所でパソコンを眺めては時間をつぶしていました。
家計は妻のパート代とわずかな貯金を取り崩す日々で、毎月赤字。妻がどれだけ苦労しているか分かってはいても、自分の「職人としてのプライド」を傷つけられるのが怖くて、妻の助言を「現場を知らないくせに」と撥ね除け、家庭内は冷え切っていました。
「何を守るべきか」に立ち戻って。
転機は、妻が倒れたことでした。
過労とストレスが原因でした。入院した妻の代わりに家事をして、通帳の残高と向き合った時、初めて自分が「守るべきもの」から目を逸らしていたことに気づかされました。
そして退院した妻が、私に怒るわけでもなく、「もう無理しなくていいよ。あなたが笑ってないのが一番辛い。商売を畳んで、二人でどこかでバイトしてもいいじゃない」と泣きながら言ったんです。
その一言で、私の変なプライドが崩れ去りました。「自営業の看板」にしがみついていたのは、妻のためではなく、自分が負けを認めたくないだけだったと。
そこで初めて、条件を一切捨てて「何でもやる」と決め、頭を下げて回る覚悟が決まりました。
自分の弱さを認めること。不要なプライドをなくすこと。
自分が「選ぶ立場」ではないことを自覚し、小規模な飲食店や個人商店への小口配送など、以前なら「雑務」と切り捨てていた仕事も丁寧に受けるようにしました。
泥臭く通い詰めるうちに、現場のニーズが見えるようになり、結果として以前よりも安定した多角的な顧客基盤を築くことができました。
家庭内では、お金の流れをすべて妻に開示し、二人で「今月はこれだけ利益が出た」と共有するようにしました。
私が「弱さ」を認めて妻に頭を下げたことで、妻もようやく私を「敵」ではなく「パートナー」として信頼してくれるようになりました。
相談者へのメッセージ
自営業の男にとって、仕事がなくなるのは自分の存在を否定されるようで、死ぬほど怖いものです。
旦那様の不機嫌やゲームは、その恐怖への「防衛本能」かもしれません。
ですが、そのままでは家庭が壊れます。一度、感情的に「働いて」と責めるのではなく、通帳をテーブルに出して「このままだと〇ヶ月後に共倒れになる。私はあなたを失いたくないから、一緒に作戦を立てたい」と、一蓮托生のパートナーとして向き合ってみてください。